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Laplace’s Box

Laplace’s Box

ラプラスの箱(Box of Laplace)

『機動戦士ガンダムUC』に登場する用語。ビスト財団が所有する正体不明の箱。

連邦政府・軍だけでなく世界を覆す物と恐れられ、ビスト財団はこれを脅迫として利用して莫大な資金を引き出し、政府の裏の組織としての権力を作り上げた。

その正体は、宇宙世紀元年を祝したセレモニーで公開されるはずだった、宇宙世紀憲章を刻んだ石碑。連邦政府首相官邸前に飾られる石碑はこれのレプリカである。 宇宙世紀元年、首相官邸ラプラスで行われたセレモニーは、テロによってその場にいた全員が死亡する大惨事となった。その時テロの実行犯の一人であったサイアム少年は、口封じの爆破を免れ、宇宙に漂う石碑を発見。後に作られたレプリカの石碑にはない一節を発見したため、これを「箱」として隠匿した。その一節とは、”第七章 未来”と銘打ち、当時の国家の代表たちのサインとともに”将来、宇宙に適応した新人類の発生が認められた場合、その者たちを優先的に政府運営に参画させる。”と書かれた、地球を離れコロニーに住まわんとする人々に向けた手向けであり、人類の未来への”祈り”だった。

石碑の存在は、マーセナス首相の暗殺が連邦政府の自作自演であることを裏付ける決定的な証拠となりえたが、サイアムは上手く立ち回ることでそれを握る己を守りつつ「箱」を自身から切り離して秘匿し、表向きは美術品輸送を業務とするビスト財団を作り上げていった。

そして、ジオン・ズム・ダイクンによって提唱された「宇宙に出た人間は、進化しうる」というジオニズム思想は、奇しくもスペースノイドの権利と政治への優先的介入を明記した「箱」の第七章碑文と重なり、連邦政府にとって”恐れ”となってしまったことで全てが狂い始める。もし「箱」の存在がジオニズムの信奉者達に知れれば、彼らはその碑文を根拠に政治的権利を主張するのは必然であり、それを拒む連邦との間に衝突が起こることも明らかであった。 その後、既得権益を守りたい地球側と、権利を主張するコロニー側との対立が表面化し、一年戦争が勃発。戦争を連邦軍勝利に導いたのは、皮肉なことにニュータイプの素質を見せるアムロ・レイであった。戦争終結後、「箱」の条文に反した戦争を起こしてしまった連邦にとってそれは”呪い”となり、政府とビスト財団の関係はより深く、宇宙世紀憲章によって予期されていた新しい人類=ニュータイプは「箱」の存在ごとタブー視されることになる。

そうして「箱」=宇宙世紀憲章の石碑という単純な真相が世に出ることのないまま、次第に事実を知る者も少なくなり、(政府にとっての)危険性だけが、ある種の都市伝説として伝わるのみとなった。

宇宙世紀0093年、総帥シャア・アズナブルの戦死と、それに伴う「シャアの反乱」の終結により、ネオ・ジオンは反連邦勢力としての力を失う。また、かつてのジオン公国であるサイド3の自治権返還が7年後の宇宙世紀0100年に迫っていた。コールド・スリープで生きながらえていたサイアムはこれを期に、連邦政府の絶対的統治のもとに人類が逼塞する危機を憂えて財団本来の目的である「箱」の開放を決断。

これを受けた現当主のカーディアス・ビストは「箱」をネオ・ジオン残党、通称「袖付き」に譲渡しようとしたが、この時彼は連邦軍再編計画と銘打たれたニュータイプ殲滅計画「UC計画」フラッグシップ機であるユニコーンガンダムを利用することを考案。「ニュータイプ・デストロイヤー・システム」の中枢に細工を施し、特定の場所でシステムが起動するたび「箱」のありかへと少しずつ搭乗者を導いていく仕掛け「ラプラス・プログラム」をインストールした。 カーディアス・ビストが「袖付き」に箱を譲渡しようとしたのは、財団と共犯関係にあった地球連邦では箱の解放は望めなかったためであるが、一方で「袖付き」に対しても「ジオンの再興」という狭矮な主義者には箱は在処を示さないとも釘を刺している。事実、「袖付き」の首魁、フル・フロンタルはサイド共栄圏の実現のための取引の材料としてしか箱を捕らえておらず、サイアム・ビストやカーディアス・ビスト、そして宇宙世紀元年に人類を宇宙へと送り出した人々の”願い”とはかけ離れたものであった。

だが、この計画を嗅ぎ付けたマーサ・ビスト・カーバインは甥のアルベルト・ビストを通じ、インダストリアル7を訪れたガランシェール隊を強襲させる。混乱の中でカーディアスは死亡したが、ユニコーンガンダムは数奇な偶然を経て彼の妾腹の息子、バナージ・リンクスが受領し、戦火に身を投じる。

その後、紆余曲折を経てメガラニカの氷室へとたどり着いたバナージとミネバに対し、サイアムは「箱」の真実と己が元年に見た幻(一年戦争初期のコロニー落としの光景)の意味、そして進化を続けてきた人間の可能性を語り、「箱」の真実はミネバ・ラオ・ザビにより、世界に公表された。その演説を聴きながら、サイアムは息を引き取った(小説版では自ら生命維持装置を止め、OVA版でもそれを示唆する描写がある)。

それが後の世にどのような影響を与えたかは語られていないが、すでにリリースされている他の作品からも、少なくともそれによって戦火が収まることがなかったのは確かである。小説版では「何も変わらない」としながらも、人々の心に「希望という光」が僅かながらも灯ったことをバナージ・リンクスは感じ取って幕を閉じる。

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