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第52回 『ザ・ストーリー・オブ・アス』オリジナル・サウンド・トラック

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2015052700037_1 ジョン・トラヴォルタ主演作『フェノミナン』のために録音し、結果的に大きなヒットを記録することとなった《チェンジ・ザ・ワールド》のあとも、クラプトンはいくつかのサウンドトラックを手がけている。たとえば、『ピルグリム』発表後のツアーが一段落した99年には、まず夏公開の『ラナウェイ・ブライド』(あの『プリティ・ウーマン』の続編を意識した内容)に《ブルー・アイズ・ブルー》を提供し、秋公開の『ザ・ストーリー・オブ・アス』にはほぼ全面的に関わっているのだ。ただし、前者は1曲だけであり、しかも大物ソングライター、ダイアン・ウォーレンが書いた曲、後者はロブ・ライナー監督からの手紙による熱心な依頼に応えたものということで、この2本は『フェノミナン』と『RUSH』の関係にあるものといっていい。

『ザ・ストーリー・オブ・アス』は、ブルース・ウィリスとミッシェル・ファイファーが結婚15年目の夫婦を演じた、ファミリー・ドラマの要素も強いロマンティック・コメディ。傍目には幸せそうなカップルだが、二人はいわゆる倦怠期にあり、危機を迎えている。そしてついに……といった展開の、ややほろ苦い内容の作品だ。

 クリーム以前からクラプトンのファンだったというロブ・ライナー(代表作は『スタンド・バイ・ミー』、『恋人たちの予感』など)は、まったく面識がなかったにもかかわらず、「あなた以外に考えられない」と書いた手紙とビデオ・テープを彼のフオィスに送ったという。それから2週間。「観てくれなかったのか?」、「興味を持ってくれなかったのか?」、「無視されたのか?」などと勝手に思い悩んでいた彼のもとに、自作の《(アイ)ゲット・ロスト》と、その印象的な旋律をライトモティーフとしたいつかのトラックが届けられた。ライナーの作風やストーリーに好感を持ったクラプトンは、自ら弾くアコースティック・ギターを核に、短期間でサウンドトラックを仕上げてしまったようだ。いかにも彼らしい反応である。

《(アイ)ゲット・ロスト》は、《ティアーズ・イン・ヘヴン》で手にした新たな方向性と、『ピルグリム』でサイモン・クライミーとともに確立した手法を理想的な形で融合させたものといえるだろう。クラプトン自身もかなり気にいっていたようで、クラブ・ミックスやダブなど、8つの異なるヴァージョンを収めたスペシャル盤もリリースされている。

 少しさかのぼって、97年春公開の英/仏映画『ニル・バイ・マウス』も忘れられない。サウスイースト・ロンドンを舞台に、貧困とドラッグ依存などに苦しむ家庭が描かれたこの映画でも、クラプトンは、制作者からの依頼を受けて全面的にサウンドトラックを引き受けている。残念ながらアルバムはリリースされていないようなのだが、全編にわたってパワフルで鋭角的なギターを聞かせていて、クラプトンの映画関連作品ではもっとも成功した例といえるかもしれない。

ページ制作にあたっての言い訳

まずもって、この個人作成のページは dot. に掲載されたものを、”無断(転載)掲載する記事”であることをお断りしておきます。
私は Eric Clapton のファンであり、1960年代より個人的趣味で音楽を楽しんできた一人として、非常に貴重な資料と思い私の拙いウェブサイトの一角に記したいと思い「無断転載」をしました。著者であります大友氏、関係各位の了承は得てありませんが、日本でも有名なロック・アーティスト … エリック・クラプトンを広く多くの方々の記憶に留めて欲しくてこのようなページを作りました。
非常に第1回〜62回と”長編掲載”になりますが、多くの方にお楽しみ頂ければ幸いです。

プロフィール

大友 博(おおとも・ひろし)
1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など。

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