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第51回 『ピルグリム』エリック・クラプトン

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2015052000038_1 ほぼ恒例行事となったロイヤル・アルバート・ホールでの連続公演を、クラプトンは1996年も行なっている。2月18日から3月3日にかけての12回。参加ミュージャンは『フロム・ザ・クレイドル』ツアーとほぼ同じで、プログラムは、ブルースの名曲を中心にしながら《レイラ》や《ティアーズ・イン・ヘヴン》も聞かせる、いわば、変則ベスト的な内容だったらしい。一連のブルース・プロジェクトに、明確な形で、いったん終止符を打ったわけだ。

 そのあとクラプトンは、チャリティー・イベントへの協力や、フェスティヴァル出演、ゲスト参加、プログラム収録などを別にすると、翌97年10月の韓国/日本公演まで、自身の名義のライヴはほとんど行なっていない。前回のコラムで書いたとおり、サイモン・クライミーとの実験的なセッションから『リテイル・セラピー』を完成させた彼は、そのままの流れで、『ジャーニーマン』以来となるオリジナル作品の制作に着手したのだ。

 自叙伝には、その録音にも参加することになるドラマーのスティーヴ・ガッドに「悲しいアルバムをつくりたい」と語ったというエピソードが紹介されている。過去の過ち、友人たちや息子の死、愛する人たちとの別れ、傷つけた人たちへの想いなどを含めて、それまでの人生を総括したような、内省的な作品をつくりたかったということだろう。

 その時点でクラプトンの手もとにあったのは、《マイ・ファーザーズ・アイズ》と《サーカス》の2曲。前者では、実の父を知らずに育った男が息子を得たときの想いが描かれ、後者では、大切なものを喪失したときの気持ちが、サーカスが街を去る情景に重ねられている。どちらも《ティアーズ・イン・ヘヴン》と同時期、つまり息子の死から立ち直る過程で書かれたものであり、方向性ははっきりとしていたわけだ。

 迷うことはなかったはずだが、彼はなによりも自ら歌詞を書くことに徹底してこだわり、じっくりと時間をかけ、コンピュータを駆使した緻密なセッションを繰り返しながら、曲を紡ぎ出していった。70年代初頭の「空白の数年」がテーマとなった《リヴァー・オブ・ティアーズ》など、それらはいずれも、クラプトンの内面をさらけ出したものだった。また、《ワン・チャンス》や《フォール・ライク・レイン》などでは90年代的リズムとの融合にも積極的に取り組んでいる。

 「じっくりと時間をかけて」は、芸術の観点からは素晴らしいことだが、ビジネスの観点からは、まったく反対の意味を持つ。スタジオにこもり、ツアーにも出ないクラプトンとロジャー・フォレスター(マネージャー)の関係は悪化していった。じつは、レコーディング終盤の97年6月、ロンドンのオリンピック・スタジオではじめて彼にインタビューしているのだが、たしかに、そこに漂う緊張感は半端なものじゃなかった。今となってみれば、それも懐かしい思い出である。

 オリジナル12曲、ブルース・スタンダード《ゴーイング・ダウン・スロウ》、ボブ・ディランの《ボーン・イン・タイム》から成るアルバム『ピルグリム』は98年春に発表された。印象的なアルバム・ジャケットのイラストレーションを手がけたのは、『エヴァンゲリオン』で知られる貞本義行。もちろんコンセプトを固めたのはクラプトン自身で、前年秋の日本公演中に依頼したものだという。

ページ制作にあたっての言い訳

まずもって、この個人作成のページは dot. に掲載されたものを、”無断(転載)掲載する記事”であることをお断りしておきます。
私は Eric Clapton のファンであり、1960年代より個人的趣味で音楽を楽しんできた一人として、非常に貴重な資料と思い私の拙いウェブサイトの一角に記したいと思い「無断転載」をしました。著者であります大友氏、関係各位の了承は得てありませんが、日本でも有名なロック・アーティスト … エリック・クラプトンを広く多くの方々の記憶に留めて欲しくてこのようなページを作りました。
非常に第1回〜62回と”長編掲載”になりますが、多くの方にお楽しみ頂ければ幸いです。

プロフィール

大友 博(おおとも・ひろし)
1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など。

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