不肖 藁科豊 "道楽親父"のこれがセブ島(フィリピン)お気楽生活だ … !

第32回 『ノー・リーズン・トゥ・クライ』エリック・クラプトン

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2014122400028_1 このweb連載でもすでに何度か触れてきたことだが、エリック・クラプトンは20代前半のころから、ロビー・ロバートソンを中心としたほぼ同世代のグループ、ザ・バンドを強く意識しつづけてきた。衝き動かされてきた、といってもいいだろう。クリーム解散の引き金となったのは、ザ・バンドの最初のアルバム『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』だったし、のちに、「彼らは私の人生を変えた」とまで語っている(ボブ・ディラン30周年記念コンサートでの紹介トーク)。メンバーに加えてほしいという想いを抱え、ウッドストックに彼らを訪ねたことすらあったというのだ。

 1974年発表のアルバム『461オーシャン・ブールヴァード』と《アイ・ショット・ザ・シェリフ》のヒットによって、深く暗い闇からの「奇跡の復活」をはたし、リハビリをかねた長期のツアーで完全に自信を取り戻したクラプトンは、このあと、ザ・バンドとの距離を一気に縮めていった。

 75年暮れ、復活第三弾となるアルバムのレコーディングに着手したクラプトンは、プロデュースを、ボブ・ディラン&ザ・バンドの『プラネット・ウェイヴズ』を手がけたロブ・フラボーニに委ねている。サンタモニカのスタジオ、ヴィレッジ・レコーダーズのエンジニアとして数多くの作品を支え、その確かな仕事ぶりで大物のアーティストたちから絶大な信頼を集めていた男だ。

 クラプトンとのプロジェクトがスタートした時期には、ザ・バンドの依頼を受けて、彼らがマリブに建てるスタジオの設計にも取り組んでいた。のちに『南十字星』や『ザ・ラスト・ワルツ』のサウンドトラックを生むこととなるシャングリラ・スタジオだ。

 その話はもちろんクラプトンも知っていたはず。おそらくは、まず、ヴィレッジ・レコーダーズでのセッションで方向性を固め、オープン直後のシャングリラに移って本格的なレコーディングを行う、といった流れで、アルバムは完成に向かっていったようだ。

 76年8月発表のこの作品のタイトルは『ノー・リーズン・トゥ・クライ』。ウィスキーのボトルやグラスがずらりと並べられたジャケット写真は、セッションの楽しさだけではなく、アルコール依存が深刻化していたことも暗に示している。自虐的なジョークでもあったのだろう。

 詳細なクレジットはないが、このアルバムには、クラプトン・バンドのメンバーのほか、ザ・バンドの面々(リャード・マニュエルとリック・ダンコは作曲面でも貢献)、ロン・ウッドらも参加している。ハイライトは、当時、シャングリラの庭に張ったテントで暮らしていたという(!)ディランが提供した《サイン・ラングウィッジ》。クラプトンとディランが絶妙なバランスで声を重ね、ロビー・ロバートソンがトレードマークのピッキング・ハーモニクスを効かせたギターを弾きまくるという、とんでもない曲だ。

 そういった背景もあり、自作曲は少ないが、ぐっと渋さを増したヴォーカルや、オーティス・ラッシュの名曲《ダブル・トラブル》での力強いソロなどからは、明らかに前2作とは異なるものが伝わってくる。80年代から90年代にかけてシェイクスピアズ・シスターの一員として活躍することになるマーシー・レヴィ(マルセラ・デトロイト)が2曲を提供していて、ここでぐっと存在感を増したことも指摘しておこう。

ページ制作にあたっての言い訳

まずもって、この個人作成のページは dot. に掲載されたものを、”無断(転載)掲載する記事”であることをお断りしておきます。
私は Eric Clapton のファンであり、1960年代より個人的趣味で音楽を楽しんできた一人として、非常に貴重な資料と思い私の拙いウェブサイトの一角に記したいと思い「無断転載」をしました。著者であります大友氏、関係各位の了承は得てありませんが、日本でも有名なロック・アーティスト … エリック・クラプトンを広く多くの方々の記憶に留めて欲しくてこのようなページを作りました。
非常に第1回〜62回と”長編掲載”になりますが、多くの方にお楽しみ頂ければ幸いです。

プロフィール

大友 博(おおとも・ひろし)
1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など。

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