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第29回 『461オーシャン・ブールヴァード』エリック・クラプトン

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2014120300038_1 1973年1月、友人たちに支えられ、約1年半ぶりに本格的なライヴを行なったエリック・クラプトン。のちに『レインボウ・コンサート』のタイトルでアルバム化されたこのライヴのあと、28回目の誕生日を迎えた彼は、なんとか薬物依存の闇から抜け出し、翌年春、マイアミのクライテリア・スタジオに向かった。あの『レイラ』を録音したスタジオである。

 そこで待っていたのは、プロデューサーのトム・ダウドと、ベース奏者カール・レイドル。レイドルは同郷のジェイミー・オルデイカー(ドラムス)とディック・シムズ(キーボード)を、復活ツアーも視野に呼び寄せていた。ロバート・スティッグウッドの推薦を受けたイヴォンヌ・エリマンと、マイアミを中心に活躍していたセッション・ギタリスト、ジョージ・テリーも加わった。

 このレコーディングに向けてクラプトンが書き上げていたのは、転調を効果的に使ってドラマチックに展開する《レット・イット・グロウ》と、J.J.ケイルの作風を意識したものだという《ギヴ・ミー・ストレングス》。じつはこの時期、パティとの関係に光明が差しはじめていたらしく、どちらの歌詞も、背景にそういった事情があったようだ。

 ダウドとバンド・メンバーたちは、そのデモ・テープを聴いてクラプトンが立ち直ったことを実感したに違いない。たしかに《レット・イット・グロウ》は名曲であり、結果的に、復活後のライヴでも重要なレパートリーとなっていくわけだが、いずれにしても、復活を期す大切な新作のために彼は2曲しか用意していなかったわけだ。まだリハビリ中という意識もあり、しかたのないことだったのかもしれない。

 セッションを進めるなかで、会った瞬間に火花が散ったというイヴォンヌとエリックは《ゲット・レディ》を書き、さらに、トラディショナルの《マザーレス・チルドレン》、ロバート・ジョンソンの《ステディ・ローリン・マン》、エルモア・ジェイムスの《アイ・キャント・ホールド・アウト》、カウボーイの《プリーズ・ビー・ウィズ・ミー》、ボブ・マーリィの《アイ・ショット・ザ・シェリフ》などがピックアップされていった。当時はレイドバックという言葉で紹介されることが多かった、どちらかといえばゆったりとした印象のサウンドで仕上げられていったこのアルバムには、『461オーシャン・ブールヴァード』というタイトルがつけられている。録音中に借りていた家の住所をそのまま使ったものだ。

 この時点ではまだボブ・マーリィは広く知られる存在ではなかったが、クラプトンは、ジョージ・テリーに勧められて《アイ・ショット・ザ・シェリフ》を取り上げることになったという。自ら積極的に選んだわけではなかったわけだが、これが全米1位まで上昇。アルバム本体もナンバー・ワンとなり、エリック・クラプトンは「奇跡の復活」をはたす。

ページ制作にあたっての言い訳

まずもって、この個人作成のページは dot. に掲載されたものを、”無断(転載)掲載する記事”であることをお断りしておきます。
私は Eric Clapton のファンであり、1960年代より個人的趣味で音楽を楽しんできた一人として、非常に貴重な資料と思い私の拙いウェブサイトの一角に記したいと思い「無断転載」をしました。著者であります大友氏、関係各位の了承は得てありませんが、日本でも有名なロック・アーティスト … エリック・クラプトンを広く多くの方々の記憶に留めて欲しくてこのようなページを作りました。
非常に第1回〜62回と”長編掲載”になりますが、多くの方にお楽しみ頂ければ幸いです。

プロフィール

大友 博(おおとも・ひろし)
1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など。

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