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第28回 『レインボー・コンサート』エリック・クラプトン

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2014112600019_1 1971年夏のコンサート・フォー・バングラデシュへの参加と、同年末のリオン・ラッセルのコンサートへのゲスト出演を最後に、エリック・クラプトンはファンや熱心な信奉者たちだけではなく、音楽仲間のサークルからも、完全に距離を置いてしまう。この間に、ドゥエイン・オールマンも急逝していた。そして翌72年の春、彼は27回目の誕生日を迎える。27歳は、ロバート・ジョンソンとジミ・ヘンドリックスがこの世を去った年齢だ。

 後年クラプトンは《リヴァー・オブ・ティアーズ》でこの時期の気持ちを歌っている。「あと3日で、僕はこの街を出る。そして、僕の顔を知る人が一人もいない土地に向かう」という歌詞が心に響く、あの歌だ。自叙伝によれば、心配して館を訪れた友人を、バルコニーの陰から見つめている、といったようなことも少なくなかったらしい。だが、完全に音楽を捨てたわけではなかった。1日数時間はギターを手にし、きちんとした形にはならなかったものの、曲を書いてカセットに吹き込むこともあったようだ。

 ともかく、そのようにして、27歳の男として生きる時期を深い闇のなかでやり過ごしたクラプトンは、ピート・タウンゼントやアリスの父親らの熱心な説得を受け、ステージに立つことを決めた。「間もなく、28になってしまう」。そのときの彼の心のなかには、きっと、そんな想いもあったはずだ。

 エリック・クラプトンの、復活に向けたコンサートは、数日間のリハーサルをへて、73年1月13日、ノース・ロンドンのレインボウ・シアターで行なわれた。バックを務めたのは、タウンゼント、ロン・ウッド、スティーヴ・ウィンウッド、リック・グレッチ、ジム・キャパルディなど7人。即席のバンド名はパルピテイションズ、つまり動悸。客席には、アトランティック創業者アーメット・アーティガン、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター、ジミー・ペイジ、エルトン・ジョンらの顔もあったという。

 クラプトンがレスポールと初お目見えのブラッキーを弾いたこのコンサートは、グリン・ジョンズの手で録音され、同年秋に6曲入りのライヴ・アルバムがリリースされている。音質が悪く、物足りない内容だったが、なんとか納得できる演奏のものだけを収めたということだったのかもしれない。約20年の時をへて、90年代半ばには14曲入りのリマスター・エディションが制作されていて、こちらでは、オープニングの《レイラ》から《ベル・ボトム・ブルース》、《レット・イット・レイン》、《クロスロード》まで、大きな転機となったコンサートのほぼ全貌を追体験することができる。

 これが1年半も人前でギターを弾いたり、歌ったりしていなかった人なのかと思わせる曲から、聴いていて辛くなってしまうものまで、演奏の出来にはばらつきがある。それは、誰よりもクラプトン自身がよくわかっていたはずのことであり、もちろん、そのまますぐに復活ということにはならなかった。

ページ制作にあたっての言い訳

まずもって、この個人作成のページは dot. に掲載されたものを、”無断(転載)掲載する記事”であることをお断りしておきます。
私は Eric Clapton のファンであり、1960年代より個人的趣味で音楽を楽しんできた一人として、非常に貴重な資料と思い私の拙いウェブサイトの一角に記したいと思い「無断転載」をしました。著者であります大友氏、関係各位の了承は得てありませんが、日本でも有名なロック・アーティスト … エリック・クラプトンを広く多くの方々の記憶に留めて欲しくてこのようなページを作りました。
非常に第1回〜62回と”長編掲載”になりますが、多くの方にお楽しみ頂ければ幸いです。

プロフィール

大友 博(おおとも・ひろし)
1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など。

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